青年吟剣詩舞道研修会

 みなさん、三連休をどのようにお過ごしになりましたか?

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 連休明けの今日は、なんとなくお仕事や学校に行きたくないなあという気持ちになったのではないでしょうか笑 連休中、心身ともに緩めることができると、スッキリした状態で頑張ることができますね。あいにく私はスッキリできずに週明けを迎えてしまいました汗。

 さて、実は先月末、成田で開催された青年吟剣詩舞道研修会に弟と参加しました。これは公益財団法人日本吟剣詩舞振興会によって開かれた研修会で、18歳から35歳までの全国の吟剣詩舞道家たちが斯道の研鑽のために集いました。一泊二日の研修で約80名が参加しており、吟剣詩舞振興会の役員による講義、ヴォイストレーニングとフィジカルトレーニングの外部講師による講義、吟と剣詩舞の二手に分かれたそれぞれ一流の指導者たちによる稽古が主な内容でした。また、三年後の吟剣詩舞の展望とそれに向けた計略についても議論しました。

 私は日頃、同年代の吟剣詩舞道家と交わりを持つ機会が少ないため、この道を歩んでいる人々と実際に出会い、話をすることができたことは大変面白かったです。(私の場合)吟詠はどうしても個人の営みになる傾向があることに加え、私は修行論の観点から吟道の修習をしているので、共同性の部分をさほど意識していなかったのですが、今回の彼らとの対話をもって、私も吟剣詩舞共同体の成員としても考えてゆく必要があるな・・・と感じました。また、現在の吟剣詩舞界における私の立ち位置(無論、序列ではない)を確認できたところもありました。

 吟剣詩舞道の普及に向けて様々な試みが精力的になされていることから、若手のスターも次々と生まれて、これからますます魅力的な世界が深まることを皆で願いました。

 世間においてこの道が広く知られるということは、様々な伝統芸能と「吟剣詩舞道」とが出会うこと予想させます。その出会いにおいて私が心配しているのは、吟剣詩舞における(このような言葉をあててよいならば)哲学の部分の弱さです。

 戦後の吟詠の大衆性、娯楽性、音楽性。これらの追求は、吟剣詩舞の舞台芸術の発展に大きく寄与しました。私はこの発展がさらに変容し高まっている現代において、この道に関わることができて非常に嬉しい。しかしその反面で吟剣詩舞道の厚みが痩せてしまわないであろうかとも心配しています。これもひとえに吟剣詩舞道への想いから。

 私たちは刺激的で華やかであるところに惹かれます。これはこれでとても素晴らしいことです。しかし同時に、その奥に、その先にある何か・・・それを私は追究したいと考えているわけです。

 吟道は大衆性、娯楽性、音楽性・・・これだけなのでしょうか?これらに還元できないところの何か・・・これを超越性と呼んでよろしければ、そのような奥行き、厚み。それを描きたいと私は思うのです。

 私はこれまで、吟詠のコンサートや講演で斯様な話をすることはあっても、これは私個人の流儀であり共有するのは余計なことであろうと思い、吟剣詩舞道家に対して話すことはありませんでした。しかし今回、少しだけですが私の想いを言葉にしてみたところ、少数ですが関心を向けてくださる吟剣詩舞道家がいらっしゃった。これは大きな驚きでしたし、嬉しかった。

 修行者としての私と、世俗的(笑)芸道の修習者(実は芸道と修行は不可分だが、この話はいつかまた...)としての私。前者は孤独でよろしくても、後者は孤独だと寂しいものです。対話できる相手がいるということは、それだけで嬉しく幸せなことなのだなと思いました。それは吟剣詩舞道以外の文脈でも同じであり、交わりをもってくださる方々、対話してくださる方々の存在に改めて感謝をして、皆様の幸せを念じます。

 今週末は大分でコンクール。慈悲の心を立てて、作者の心の営みが現前することのできる場が生じますように。

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 健やかで、危険がなく、心安らかに、幸せであれかし!

    本田陽彦 拝