生きていてほしいんだと思うこと

 生きていると、いろんな人に出会う。

 

 どうしてかと言われても、わからない

 死んでほしくないのだから

 助けることはできないけれど

 生きていてほしいんだ

 苦しみを取り除くことはできないけれど

 死んでほしくはないんだ

 こう思うのは、無責任ですか?

 

 ある人は、私に言った。

 「“執着”してしまうんですよね」と。「私には生きていてほしいなと思う人たちがいて、本田さんもその中に入ってしまうと思うんです」と。

 

 あの瞬間ほど、死から遠ざけられたことはこれまでなかったかもしれない、と今でも思う。

 

 その方はキリスト者だが、「愛」とはこういうものなのではないかと、その時思った。「それは執着ですよ」などと言い切ってしまうには、あまりにも尊く、美しく、気高いものだった。

 

 言葉は、いつも私の心の中にあり続けている。そして活力を与えてくれる。私は言葉をそのように使いたい。自他の抜苦与楽のために。