いのち
ここのところ、「いのち」に心を向けないわけにはいかない日々が続いている。私の大事な人々のいのち、大事な人々の大切な人々のいのち。そして私のいのち。
生まれおちたその瞬間から死にゆくさだめにある。“にもかかわらず”、人は生きてゆく。
いのちのはじめは、支えてもらわなければ生きてゆくことができない。多くの人々の助けを借りながら生きてゆき、いつしかそのいのちも他のいのちを支えるようになる。時には傷つけられ、そして傷つけながらも生きてゆくのである。遅かれ早かれ死ぬことは決まっているのに。
この「“にもかかわらず”生きる」というあり方は、なんとも滑稽であるとは思わないか。静かに考えるときいつもそう思うのである。しかしそれをはるかに凌ぐくらいに、美しく尊く感じるのである。
すべての生きとし生けるものたちが、健やかで危険のないように。心安らかに幸せであるように。いつまで続くかわからないこの人生が、自他の抜苦与楽の役に立つように。大切な人々が苦しみから離れることができますように。私もまた、解放されますように。